録音にひと工夫


音声認識機能を使って口頭練習

 発表や朗読の練習など、チェックをお願いされることが多いのが日本語の教師の仕事ですね。しかし、多くの学生の要望に一人で対応するのはどだい無理な話です。

 そういうとき、スマホに標準装備されている「音声認識機能」を使ってみるのはどうでしょうか。標準で音声認識のないスマホには、Dragon Dictationというアプリがあります。これらはいわゆるSTT(Speech to Text)というジャンルのアプリで、音声を聞き取って文字化してくれるものです。日本語にも対応しているので、学生に原稿を読んで録音し、それが正確に文字化されているかを自己チェックすると、日本語母語話者ならかなり正確に音声を認識してくれます。しかし、学習者にさせてみると、これがなかなかうまくいきません。これは、音声認識のパターンを、母語話者の音声コーパスをもとに生成しているからです。現在のところ、ほとんどの音声認識アプリは同じ音声認識エンジンを使っていますから、どのアプリを選んでも実は性能はあまり変わらなくなりました。

 これとは逆に、"iSpeech(iOS用)"や「Google読み上げ(Android)」など、いわゆるTTS(Text to Speech)アプリもあり、こちらはテキストを読み上げてくれます。学習者がスピーチなどをするとき、よく手本を録音してほしいというお願いをされるときがあります。なるべく応えてあげたいものの、その相手がたとえば30人となるとちょっと大変。そこで、テキストをこのアプリのウィンドウにコピーすると読み上げてくれます。