学習者をよく知ろう

あなたの向かい合っている学習者のこと、どのくらい知っていますか?もちろん、プライバシーのことではありません。どんな日本語学習をしてきて、今どのように日本語を学び、その学習をどのように考えているかです。

 学習者と話していると、ときどき私たちが思っても見なかった学習動機や学習方法をとっていることがわかることがあります。

 例えば、最近の学習者にはほとんど学校で日本語を学んだ経験がなく、自学自習で学んだという人も多くいます。それらの人たちの学習動機を聞いてみると、「日本語が好きだから」「アニメで使われているので覚えて使ってみた」「日本のロックバンドが好きだから、ライブハウスに通って覚えた」などなど、これまで教室で行う一般的なニーズ分析などでは出てこなかったような内容が出てきます。これは、これまでの調査が、あまりに「同一化」とか「道具的動機」とかいった心理学からの情報に引きずられて、学習者もそういう目で見すぎていたということもあると思いますが、情報が簡単に手に入る用になった結果、実際に学習者の動機も変化したということがあげられるでしょう。

また、その学習方法についても、多くの人がほぼ完全にYoutubeの動画だけで学習していて、かつ、かなり流暢に日本語をこなします。一方で、動画で学習した人に共通の問題点もあります。日本語のバリエーションが理解できていない、漢字がほぼわからないなどです。

 このような学習者の変化に目を向ければ、学習の支援のあり方も変わってくるのではないでしょうか。