カメラを使う


写真を共有

 スマホの機能で、最も頻繁に使うものはなんでしょう?人によりその答えはちがうと思います。メール、twitterやfacebook、ゲーム、Youtube、音楽、ショッピングやオークション等々、しかし、その中でも、いろいろな場面で使うとなると、やはりカメラではないでしょうか?

 スマホでカメラを使って、みなさんは、どうしていますか?そのまま死蔵、という人もけっこう多いのではないでしょうか。最近は、授業の終わりに学生たちが黒板の写真を撮る風景も普通になりましたが、それを逆手に取って、写真を積極的に使って授業を進められないでしょうか。

 ここで問題になるのが、どうやって写真をあつめてみんなで見るかです。

 例えば、こんな活動はどうでしょうか?

 テキストなどで新しいことばを学ぶとき、それはたいていあるトピックのまとまりを持っています。食事のトピックなら、さまざまな料理やレストランなどに関連することばが出てくるでしょう。それらのことばを街なかで見つけたとき、あるいは関連していると思うことばを見つけたら、カメラで写真を取ってくることを宿題にする。

 しかし、撮った写真をどのように共有するかが問題です。メールに添付して送る?Web上に載せてすぐに見たいですよね。そういう時には、「30days Albumn」というサービスが役に立ちます。一度アルバムを作っておけば、参加者はURLと合言葉のみ覚えていればよく、面倒な登録作業もありません。授業のその場でどんどん写真を足していけるので、流れを止めることなく、写真を使った授業を勧めることができます。

 

動画を編集し、投稿する

 最近のスマホは進歩していて、単に写真を写すだけではなく、動画、それもコマ送りやスローモーションなどさまざまな形の映像を撮影し、保存することができます。

 ここでは、それを一歩進めて、編集し、発信することで日本語の学習に活かす方法を考えてみましょう。いまや、動画投稿サイト(Youtube)は多くの人が視聴する、大きなメディアとなっています。

 実は私が授業でもっとも利用しているのが、この動画撮影機能です。ここでは、Youtubeに投稿する方法を学びましょう。

  1. スマホで動画を撮影する。
  2. 「共有する」ボタンをタッチし、メニューからYoutubeを選ぶ。
  3. 終わり。

簡単すぎです!

ただし、前もって自分のYoutubeアカウントを作成する必要があります。

 

 しかし、これでは「事件現場を激写」ビデオと同じで、企画もなければ編集もされていないので、日本語教材として今ひとつ効果的ではありません。日本語のクラスの活動として意味があるものにするためには、いくつか工夫が必要です。ここでは、学部留学生の日本語上級のクラスで「自分たちのほしい発明品のCMを作る」という企画を立てたとしましょう。

 まず、撮影する前には、以下のような準備活動が必要です。

  1. 3〜5人のグループを作る
  2. グループで企画を考える
  3. ストーリーボード(いわゆる絵コンテ)を作る
  4. 脚本を書く
  5. 役割分担をする(出演者、記録係など)

企画を考える際には「Kick Starter」などのサイトを見て、アイデアを考えます(キャリアデザインの授業ではないので、簡単に見るだけです)。企画にはディスカッションが必要ですし、実はストーリーボードを作るのが大変です。そのときに日本語で資料をあつめたり日本語で話し合うことによって、インターアクションの中で日本語を学んでいきます。もちろん、セリフの練習などもあります(しかし、学生アンケートによると、一番効果があったのは「友達作り」だったということでした)。

  1. 適当な長さに切ったり、場面をつなげたりする
  2. タイトルロールやエンディング(クレジット)を作る
  3. 音声をアフレコで入れたり、背景に音楽を流したりする
  4. 字幕をつける
  5. アノテーションを挿入する

 日本語レベルが上級でなく、初中級であっても動画撮影とアップロードは有効に利用できます。例えばスピーチやナラティブのビデオを撮影し、上記の「アノテーション」機能を使って、自分や他の人の気づきをビデオに書き込むだけでも効果があります。実際、スピーチの指導などでは、私は主にアノテーション機能を使っています。

 それにしても、楽になったものです。数年前まで、授業でドラマ撮影など行おうものなら、重いビデオカメラをもってテープに録画し、それをPCに取り込んで、高価なビデオ編集ソフトで仕上げ、そして最後にはDVDに焼いて学生に配布する、という大変な作業でした。そして、そのコストと時間たるや大変なものでした。それが、今、スマホ一台で撮影から編集まで、そして配信までできるのですから、使わない手はないでしょう。